Naturing Thailand

 タイと仕事で関わりを持って25年以上が過ぎました。 昨年、病のため2度目の駐在からやむなく帰国。 また、タイに行きたいと思っています。 はじめはタイで遺跡や仏像を中心に撮っていましたが、いつのまにか蝶や動植物が主になってしまいました・・・

 タイ国外のクメール遺跡

ワット・プー その10 - 山腹部(5)‐本殿周囲と岩壁の聖泉 - 南ラオス その17

 ワット・プーと南ラオスの旅も今日が最終回です。
 今週末には、来タイ中の次女とヴィエンチャンに行く予定なので、次のラオス編はヴィエンチャンの名所旧跡とやっぱりメコンをお送りする予定です。

 本殿の裏の北側の岩山には、三神像が彫られていましたが、裏の南側には切り立った30mほどの岩壁があり、その下には水が湧き出ていました。
 麓にあった遺跡展示ホールには、この泉から本殿に祀ってあったとされる、ヨニ-リンガに聖水を導いて掛けていたとされるマカラが注ぎ口の石樋と排水口のマカラが置かれていました。
 往時には、この石壁の下の泉から主祠堂まで水が引かれていたんですね。
  そういえば、この展示ホールにはBan Wat Luang Kao出土と書かれた、タイのサケオ県のプラサート・カオノーイにあったのと同じようなマカラの口の間のベルトから花飾りが下がる図案のリンテルが置かれていました。
 サンボール・プレイ・クック様式のリンテルですから、7世紀前後のものですね。

 今現在は、岩壁の下2か所から泉が湧き出ており、そこから今はマカラの口の石樋を模したコンクリート製と木製の樋から岩壁の下に置かれたヨニを模した四角の石桶に聖水が導かれていました。
 一啜りで十年の延命、顔になすれば色白く、黒子やそばかすが消えると信じられているそうなので、もちろん一啜りいただきました。
 顔にもなすりましたが、真っ黒のままですね。

 この岩壁と本殿の間には、石の遺構が散乱していたり、古そうなリンテルがぽつんと置いてあったりしていました。
 本殿は小さな建物でしたが、そこを囲むように残る石組の壁や裏の岩壁の前のテラスに上がる南北に広い石段などを見ると、岩壁の前には本殿を中心にかなり広い伽藍があった様です。

 南バライの東の遺跡入り口ゲートから、岩壁の前まで昇って降りてゲートまで戻るのに、今回の急ぎ足の見学でも3時間、リンガの結界石の参道から上だけでも2時間強かかっていました。
 
 次回は一日かけてゆっくり登ってみたいなと思いながら遺跡を後にしました。

 これで、今回のワット・プー、南ラオスの旅の報告を終了します。
 一月余りお付き合いいただきありがとうございました。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 本殿裏の南側です。
 左手奥に大きな岩壁があり、その下に水が湧き出しています。
 岩壁の前にも石組の壁の跡が残っています。
 石壁のある段と本殿のある段の間は、昨日の三神像があった北側から石の段が南北に広く組まれています。
 
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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 泉の湧いているところから、真上の垂直な岩壁を写しました。
 高さは30mほどでしょうか。
 
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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 岩壁の下は、このように抉れていて、水が浸み出しているところがいくつもあります。
 今は、2か所にマカラをかたどった樋とヨニを模した石鉢が置かれて、訪れた人が水を汲めるようにしてあります。
 この聖泉の水を啜ると十年延命できると信じられているそうです。
 私も飲ませていただきました。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 こちらの泉は木製のマカラです。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 こちらの泉でも一啜り。
 合わせて二十年寿命が延びてくれるのでしょうか。
 往時には、ここから石樋で本殿までこの聖泉の水を引き、主祠堂に置かれたヨニに組まれたリンガに聖水を掛けていたと考えられています。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 本殿との間にぽつんと置かれたリンテルです。
 まだ周囲にはかなりの石材が散乱していましたので、本殿以外にもこのリンテルが組まれた構築物がったのでしょう。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 こうした遺構がまだ周囲にはいくつも残っています。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 今昇って降りてきたワット・プーの山です。
 今回は急ぎ足の見学でしたが、この場所に戻ってくるまでに2時間半掛りました。

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<11/01/29撮影 ワット・プー COOLPIX P7000>
 メコン西岸のチャムパーサックの街を離れるとき、リンガパルヴァータはシルエットになっていました。

以上


ワット・プー その9 - 山腹部(4)‐岩壁の三神像 - 南ラオス その16

 本殿は、山腹の岩壁の東側を切り開いたテラスの上に建っています。
 本殿のすぐ西側から南には切り立った岩壁、北側には岩壁から続く岩山になっています。
 本殿すぐ裏からやや北の大きな岩にヒンドゥー教の三神像が刻まれていました。

 岩の東側を削って、中央にシヴァの立像、左にブラフマー、右にヴィシュヌの座像を従えていました。

 腰巻きの襞、太く張った手足などから観て、10世紀末~11世紀初期にかけてのスールヤヴァルマン1世の時代のクレアン期のものだそうです。
 こうした三神像はアンコール地域でもタイ、ラオスの他のクメール遺跡でも見かけたことはなく珍しいですね。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 本殿のあるテラスの北西は岩山になっており、この写真の右手にある岩にヒンドゥー教の三神像が東向きに彫られていました。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 中央の立像の神に向かって、左右の神が恭順を示す立膝で座るという構図の彫像です。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 中央のシヴァ神の立像です。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 シヴァ神の左で立膝で恭順を示しているブラフマー神。
 前手は合掌し、後手には蓮華と数珠を持っている。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 シヴァ神の右のヴィシュヌ神。
 前手で棍棒を持っています。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 像が彫られている岩は山腹にむき出しになったかなり大きな岩で、そのほんの東側の先を削って、三神像が彫られています。
 仏教徒のラオスの方たちもお参りして線香をあげていました。

以上


ワット・プー その8 - 山腹部(3)‐本殿(2)本殿のリンテル他 - 南ラオス その15

 ちょっと、日が空いてしまいましたが、ワット・プーの本殿の続きです。
 あと3日で、南ラオス、ワット・プーの紹介も終わりです。
 もう少しお付き合いください。

 本殿の東面の三つの入り口や南北の入り口の上の破風の下には様々な神を描いた精巧なリンテルがいくつも残っていました。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 東面の入り口内部の様子です。
 10~11世紀に増築された部分は石組も比較的ちゃんと残っており、特に精巧な装飾が石に刻まれたリンテルはいくつかのテーマの異なるものを見ることができます。
 奥の主祠堂だったところに18世紀以降安置されたラオス仏が一部見えます。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 アイラーヴァタに乗るインドラ神です。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 カンサ王を引き裂くクリシュナ。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 再度、アイラーヴァタに乗るインドラ神。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 中間部の南北神殿で何度も見た、カーラに乗る神のテーマ。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 こちらも、カーラに乗る神。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 これもカーラに乗る神。
 

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 東面北側入り口の上のリンテルと破風。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 ガルーダに乗るヴィシュヌ。

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<11/01/29撮影 ワット・プー COOLPIX P7000>
 その上の破風は、魔王ラーヴァナからシーターを助けるハヌマーン。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 門柱の装飾もきちんとしていました。



ワット・プー その7 - 山腹部(2)‐本殿(1)門衛神と天女像 - 南ラオス その14

 いよいよ本殿です。
 本殿の石積みの造営は10~11世紀前半とされていますが、奥の主祠堂はもともとあった煉瓦積みの四角な建物を増改築して作られています(今日の写真2、3枚目、本堂後方の北西部分を撮影した写真を見るとよく分かります)。
 この煉瓦造りの部分は7、8世紀の作のようです。
 主祠堂には今は、近世の作と思われるラオス仏が置かれていました。 

 本堂は参道方面の東に向いて三つの入り口があり、左右の入り口外側の東面には門衛神、この入り口側面の南北面にはデヴァダーのレリーフが刻まれていました。

 特に北面のデヴァダーのドングリまなこと厚い唇は妙に親近感があって好ましく思いました。
 この、目や唇を線刻で縁取る手法は、バンテアイ・スレイで始まったそうですが、こちらはその7、80年後の作で、すでに使いなれた手法で刻まれており、妙に丹念に線刻してあるバンテアイ・スレイより見た目が柔らかく、愛らしく見えるのはレヌカーさんの解説の通りでした。

 明日からまた蝶です。
 ワット・プーの本殿の続きはまた来週。 

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 本殿を南東から撮影した写真です。
 東面に三つの入り口、南北面にそれぞれ一つずつ入り口があります。
 全体の石組の造営は10~11世紀前半とされています。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 本殿北面入り口より後ろの部分を北西から撮影した写真です。
 この主祠堂の部分は、もともとの煉瓦造りの建物に石積みの増改築を施したような作りになっています。
 煉瓦造りの部分は7、8世紀に建てられたもののようです。
 主祠堂には今はラオス仏が安置されています。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 煉瓦積みの様子が良く分かります。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 東面の南側の門衛神像です。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 東面の南側の門衛神が彫られた柱の南面のデヴァダー像です。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 こちらは、東面の北側入り口の門衛神像。
 
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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 南側入り口の柱に刻まれた門衛神やデヴァダーの顔と異なり、丸い目と厚い唇をしています。
 この門衛神の北側面にあるデヴァダー像も同じような特徴を持っています。
 口髭もはっきり分かります。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 東面北側入り口の門衛神の刻まれた柱の北面のデヴァダーです。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 丸い大きな目と厚い唇が愛らしく見えます。

ワット・プー その6 - 山腹部(1)‐山腹に上る石段と巨石の彫刻群 - 南ラオス その13

 ストゥーパのテラスから本殿のある山腹に向け、急な石の階段が続きます。
 石段を昇りきると開けた台地にでます。
 山腹の岩壁前に広がる本殿の境内です。
 
 ここから、昇ってきたところつまり東側のメコン方面を見ると素晴らしい眺望が開けていました。
 南北宮殿、聖池に挟まれたリンガの結界石に護られた参道、暁のテラスとその先に広がる広大な南バライ。
 さらにその先には、チャムパーサックの小さな街が続きます。
 メコンの向こうには、ボーラウェン高原まで見渡すことができました。
 この眺望だけで、ここに来た甲斐があります。

 山腹に上がる階段の先には木々に囲まれて本殿がありますが、その本殿の北側の林の中には巨石や露出した岩にゾウや人型ワニや蛇の型を刻んだ彫刻が散在していました。
 クメール人の作った遺跡群とは時代や様式がかなり違うもので古い土着の宗教的なもののようです。

 今日は、山腹に上がる階段とその上からの眺望、そしてこの巨石の彫刻群を紹介します。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 ストゥーパのテラスから山腹部へ昇る階段です。
 手前の位置には楼門があった様ですが、今は石材が無造作に置かれているだけです。
 写真左手の大きな段々は、斜面が崩れるのを防ぐ石の擁壁です。
 擁壁の上は、奥行き1.5~2mほどのテラスになっています。
 7段の擁壁-テラスがあり、各テラス間に11段の階段が設けてありますので、上の山腹の境内のところまで計77段の急な石の階段が続いていました。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 この階段を降りるときに撮った写真ですが、各石段の段差はクメールの遺跡の例に漏れずかなりあり、昇るのに一苦労で、下りはもっときつくなります。
 写真でも横になって降りられる方の様子が分かりますね。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 石段を登りきると眼下には、雄大な眺望が開けます。
 参道が、南バライを越えてずっとメコンのほうまで続くのが見えます。
 メコンの向こうに遠く広がる低い山並みはボーラウェン高原。

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<11/01/29撮影 ワット・プー COOLPIX P7000>
 かつて、カオプラヴィハーンの山頂主祠堂の先の絶壁から観た、数百メートル下に広がるカンボジアの緑の平原の景観も素晴らしいものがありましたが、このワット・プーの遠く続く参道とその向こうのメコンの景観も負けずに素晴らしいものでした。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 階段を上がった境内の北側の林の中には、こうした巨石や岩盤が露出したところがところどころありました。
 その中には、この様に動物をかたどったものや階段などを彫ったものが残っていました。
 これらはクメールの文化より古いといわれていますが、詳細は分からないようです。
 これは、ゾウ石と呼ばれるオスのゾウを彫ったもの。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 同じゾウ石です。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 なんらかの宗教的な遺構があったと思われますが、今はこうした加工された石が散乱しているだけです。
 これは階段の跡でしょうか。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 なんともかわいらしい顔の蛇に囲まれた階段です。
 ナーガとして発展する前の階段の装飾でしょうか。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 ツチノコだと呼んでいた方がいましたが、まさにナーガというよりツチノコですね。
 とっても素朴な感じがして好感が持てます。

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<11/01/29撮影 ワット・プー D700 VR 16-35mm F/4G>
 一転、恐ろしい彫刻です。
 7世紀の中国の「随書」に記述のある真臘(チェンラ)の都近くの王が生贄の儀式を行っていた神祠の跡か、この地に残る美女を生贄にしたという伝説の場所か、このワニをかたどった石板は明らかに人が仰向けに両手、両足を広げ寝かされたと見られる溝が掘り下げられている。
 また、右足の先や、ワニの尾先には液体が外へ流れ出る溝が彫ってあり、ここから生贄の血が流れたのかもしれない。
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